「ハサミ」は「ハイヤー」、「リンゴ」は「インゴ」、「アイス」は「アーイ」などです。
サ行マ行が苦手のため父親の名前は一度も口にしてもらえませんでした。
多動のため、床屋にはつれていったことがありません。
カットはいつも両親の仕事で、主に父親がカットし、仕上げのハサミは母親が担当しました。
施設に入所するとき、ちょうど夏の終わりでまだ残暑が厳しかったので、入浴後の手入れが楽なように「ボウズ刈り」にしました。
息子は気に入ったようで、帰省のたびに、「ハイヤー」(はさみ)と言いながら、指をVサインの形にして髪を切るしぐさでカットを要求しました。
連休がある月は頻繁に帰省し、都度カットを希望するので、刈る余地がなくなり困ったものでした。
冬場を除き、施設での生活は本人の希望に沿い基本ボウズ刈りで過ごしました。
今は、息子を借り上げたバリカンが部屋の片隅でほこりをかぶっています。
「ひげがはえたらどうしよう」と悩むことももうできません…。
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