2016年10月10日月曜日

「ふぁーい…。」

 息子はいくつかの単語は話せましたが、2語文以上の言葉を話すことができなかったため、息子からの意思表示は限られた単語と身振り・表情・行動の組み合わせで行われました。
 私達が話す言葉は、複雑な内容を除けば、ある程度理解しました。
 親同士で、行動予定を話し合っていると、いつの間にか聞いていて、自分の中で当日のスケジュールをしっかり組み立てていました。
 途中で変更すると、機嫌が悪くなりました。
 息子に相談して決めたわけではないのに…。予定をもとに戻すよう「ふぁーい」と促されました。
 何かやってほしい時に発する言葉が「ふぁーい」でした。
 思い通りにならないとき、「ふぁーい」を何回も繰り返しながら迫ってきます。
 家族や親族そして息子に関わる人達と、他人とは区別できていました。
 時々、他人にコンタクトを試みることがありました。
 ある時、電車の中で床のゴミを見つけた息子。
 自閉症特有のこだわりで、ゴミが落ちていることを許せない時期がありました。
 落ちているゴミを拾うと、こともあろうに、ゴミのすぐ近くに座っていた男性に「ふぁーい」と差し出しました。
 困惑する男性…。
 母親はあわてて息子の手からゴミをもらい自分のポケットへ…。
 「あーあ…」
 自宅や、ゴミが散らかっている場所では気にもとめないのに、電車の中や掃除の行き届いた場所では気になるようでした。
 自宅では散々散らかすくせに…。



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