2016年12月18日日曜日

「びょういん ハッ ! 」

  息子が小学校3年生位の時に、初めて虫歯の治療をしました。
 注射は、予防接種で慣れているせいか特に抵抗しません。
 しかし、虫歯を削るのは、大人でもキーンという音を聞くだけで身につまされます。
 自閉の息子に虫歯治療などできるのだろうか、いつも不安に思っていました。
 そのため、母親は小さいときから神経質なくらい、歯磨きを入念に行ってきました。
  しかし、ついにその時がきました。
 歯科検診で、虫歯を指摘されたのです。
 歯科医に相談した結果、治療は麻酔で眠らせて行うことになりました。
 医師と歯科医のコラボによる治療、障がい児専門の治療施設で処置することになりました。
 予定通り終了し、寝ている息子を、ストレッチャーで駐車場のマイカーまで運んでもらいました。

 出発しようとした瞬間です。
 目が覚めた息子が、血相を変えて父親に迫ってきました。
 治療台のところへ戻れ と憤激しています。
  歯科医に文句を言いたかったのか、
  目が覚めている状況でやり直せと言いたかったのか…
 今から思うと、後者だったと思います。
 「寝ている間に何をした ? 仕切りなおせ !」とでも言いたかったのでしょう。
 取り急ぎ、診療所をあとにしました。
 大人でも虫歯の治療をもう一度受けるのはためらいます。
 親は心配しましたが、亡くなった息子は思ったよりしっかりしていたようです。

 施設から帰省の車の中で、一度は必ず口にしました。
 「びょういん、ハッ ?」(歯医者さんにいくの ?)
 虫歯の治療は“勇敢な ?”息子でも好きではなかったようです。

 




0 件のコメント:

コメントを投稿