注射は、予防接種で慣れているせいか特に抵抗しません。
しかし、虫歯を削るのは、大人でもキーンという音を聞くだけで身につまされます。
自閉の息子に虫歯治療などできるのだろうか、いつも不安に思っていました。
そのため、母親は小さいときから神経質なくらい、歯磨きを入念に行ってきました。
しかし、ついにその時がきました。
歯科検診で、虫歯を指摘されたのです。
歯科医に相談した結果、治療は麻酔で眠らせて行うことになりました。
医師と歯科医のコラボによる治療、障がい児専門の治療施設で処置することになりました。
予定通り終了し、寝ている息子を、ストレッチャーで駐車場のマイカーまで運んでもらいました。
出発しようとした瞬間です。
目が覚めた息子が、血相を変えて父親に迫ってきました。
治療台のところへ戻れ と憤激しています。
歯科医に文句を言いたかったのか、
目が覚めている状況でやり直せと言いたかったのか…
今から思うと、後者だったと思います。
「寝ている間に何をした ? 仕切りなおせ !」とでも言いたかったのでしょう。
取り急ぎ、診療所をあとにしました。
大人でも虫歯の治療をもう一度受けるのはためらいます。
親は心配しましたが、亡くなった息子は思ったよりしっかりしていたようです。
施設から帰省の車の中で、一度は必ず口にしました。
「びょういん、ハッ ?」(歯医者さんにいくの ?)
虫歯の治療は“勇敢な ?”息子でも好きではなかったようです。
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