2017年12月22日、東京地裁103号法廷で3回目の口頭弁論が行われました。
原告と被告が事前に提出した書面・意見書・証拠資料の確認や今後のスケジュールについて決められましたが、2時間半の大半は、原告である私達夫婦に対する尋問が行われました。
尋問は事前に提出した陳述書等の各種書面や記録などの証拠にもとづき行われました。
原告弁護団の先生方に続き、被告代理人弁護士からも私達夫婦に対し執拗な尋問がありました。
裁判の争点は、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、過失で息子を行方不明にさせ、高尾山近郊の山中で遭難死に至らしめた、被告の障害者入所施設藤倉学園が、過失は認めたものの、重度の障がいの子供は将来働くことができなかったであろうとして、賠償額に逸失利益を認めず、慰謝料も通常支払われるべき金額を下回る額を主張していることに対し、私達原告が、障がいの有無で賠償額に差をつけることは障がい者に対する不当な差別であると主張しているものです。
地裁が「争点を絞る」ことを主導し、「争点は損害論」として出発しています。今までの口頭弁論で提出された証拠は、「一般的な自閉症に関する文献」を除くと、原告側が準備したものにより裁判が進行し、原告が主張することに対し被告が反論するという形式で進んでいます。
今回の尋問では、原告として以下の主旨にもとづき、証言しました。
①我が国は法治国家であり、憲法で差別を禁止していること、権利条約という国際条約を批准し、障がいを理由に差別することを禁ずると国際社会に約束していることをあげて、「命と人生の損害賠償」に司法が率先して法律を守る姿勢を示して欲しい。
②そもそも障がいがあるから働くことができないと断定するのは間違っている。合理的配慮があれば充分働くことができる。現実に働いて成果をあげている実例がある。又、障がい者雇用の機会も割合も増えている。
③児童相談所の障害判定は福祉サービスが対象者にとってどの程度必要かを判定するもので、能力や将来の可能性を判定しているわけではない。
④私達の息子は成長途上の伸び盛りで、就労に必要な色々なことができるようになっていた。
対する被告は、以下の2つの骨子で反論し、特に②にもとづき私達被害者の両親に執拗な尋問を繰返しました。
①障害者に対する賠償額に差別を無くすべきという主張は独自の見解である。
②児童相談所の記録にいろいろな問題行動が記載されている。
児童相談所は、息子のような発達障害の相談について、必要な福祉のサービスを検討し、障害の判定などを行います。判定に際し、IQテストの結果を重視し、能力や成長の可能性より、育てていて困っていることのみを聴取し、短時間の観察で判定しているようです。この点について、専門家の方からは、欧米諸国では、障害判定にIQは採用しなくなっているともお聞きしております。
学校の記録では、年齢に応じ、コミュニケーションや社会性が身につき、又、就労に必要な能力も発達していることが記載されていました。
息子の児童相談所の記録には、妻や入所後の施設から聴取した問題行動と短時間の観察及びIQテストの結果程度のことしか記載されていませんでした。
又、記録を読んでいくと藤倉学園の現学園長と職員が東京都に対し最重度加算の助成を受けようとして、児童相談所の心理士の聴取に対し耳を疑うような虚偽の回答をしていることも記録されていることがわかりました。
亡くなった息子が、どんぐりや歯磨を食べたとか、自宅にいたときに妻に対し毎日暴力をふるい怪我をさせていたなど。
息子は自宅にいたとき、他害はなく、母親に対して愛情表現で突くことはあっても、怪我をさせたなどということは一度もありませんでした。近所でトラブルを起こしたこともなく、学校でも聞いたことがありません。学校で他人によく噛みつくお子さんがいて、被害を受けたことはありますが、不機嫌になっても仕返しをするようなこともありませんでした。
自宅にいたときにどんぐりなど全く興味を示したことはなく、食べ物以外の物を口にしたことはありませんでしたし、学校からもそのような報告を受けたことはありませんでした。
藤倉学園の最重度加算の助成要請は、実際に息子を観察した2人の心理士が却下した記録が公文書として残っています。
被告の代理人弁護士は、妻に対し、特に児童相談所の児童期のやんちゃな行動の記録をもとに執拗な尋問を繰り返し、私ども両親を怒らすためにやってきたとしか思えぬ行動に出ました。被告藤倉学園の預かっている障がいの子供に対する姿勢が、その代理人を通してよくわかりました。
原告弁護団の先生方が再主尋問でフォローしていただきましたが、特にベテランの先生が、相手の執拗な尋問を一蹴するあたかも鮮やかなリターンエースのような答弁をされたのがとても心強く感じました。原告の証拠資料として提出した我が国でも屈指の発達医療のドクターの意見書では、学齢期を過ぎれば自閉症特有の問題行動もなくなってくると記載されていました。又、15歳以降になっても成長の伸びしろが極めて大きいとも記載されていました。被告が強調して指摘した幼少時期の息子の問題行動は思春期を過ぎればなくなってくると回答したのです。
原告側は主張に合わせて、著名な学者の方や専門家の方々の意見書と、発達医療専門のドクターや障害者の雇用現場の責任者の方を証人として準備しましたが、被告側は自分達の主張を立証する意見書や証人を準備することができておらず、息子の障害判定の診断にかかわった医師への依頼を試みたようですが断られたとのことでした。
私達は裁判に踏み切ったときから和解はしないという方針で臨んでまいりましたが、改めてその決意を固めました。
今回の期日では、3回目ということもあり、傍聴いただく方がたくさんは望めないと思っておりましたが、応援いただいている皆様方の呼びかけもあり、大勢の方に来ていただくことができました。とても心強く、皆様方のご厚意に深く感謝しております。
第3回口頭弁論期日
2017年12月22日(金)午後2時~4時30分
東京地方裁判所103号法廷
事件番号・事件名:平成29年(ワ)第4826号 損害賠償等請求事件
係属部:東京地方裁判所民事第39部合議A係
東京地裁の公開法廷における口頭弁論も次回で第3回を迎えます。過去2回の期日は、ご支援いただく大勢の皆様に傍聴していただくことができ、裁判官の心を少なからず動かすことができたものと信じております。
引き続き高い関心をお持ち頂き、是非傍聴下さるようお願いいたします。
<傍聴券配布の場合>
過去2回の期日には傍聴券が配布されました。
開廷50分前に裁判所正面入り口手前の右側で傍聴整理券が配布され、開廷20分前にその整理券を傍聴券に引き換えて頂き入廷していただきました。
(傍聴希望される方が定員オーバーした場合には抽選になります。)
又、裁判終了後に報告集会を行います。
◎裁判の概要
2015年9月に知的障害を伴う自閉症の息子和真は、預けていた障害者施設の過失で行方不明となり、高尾山近郊で遭難し亡くなりました。
私達は入所施設を運営する社会福祉法人藤倉学園と賠償をめぐる裁判を続けております。
私共は、障害の子供の命が軽んじられたことから、施設の安全配慮に手抜かりが生じ、事故が発生したと考えております。又、人生を失ったことに対する賠償に、施設側は障害の有無で差別する姿勢を示してきました。ここに強い憤りを感じております。
「息子の命と人生を軽んじられたことに対する憤り」です。
過去の期日では、支援の会の皆様の他に、障害関係の支援団体の方、SNSで事態を知って応援してくださる方や、そうした皆様方からのお声がけにより関心をお持ちいただき応援してくださる方に傍聴していただきました。
次回の12月22日(金)にもぜひ裁判傍聴にご参加いただきますようお願い申し上げます。
裁判に至るまでに、障害関係の団体・特別支援学校のPTAへのアプローチをしたり、HPやSNSを活用して、事態の周知をはかり、世間に関心を払っていただく活動を行ってまいりました。
予想していたことではありますが、「命に差別をつけるのは、憲法や我が国が批准した国際条約に反する」といった主張に対しては賛否両論の反応がありました。
司法の慣行では、命の賠償に財産的損害と精神的損害に分け、財産的損害としての逸失利益に亡くなる直前の収入を基準とする将来稼げたであろう経済的損害額を当てはめてきました。当てはめる基準は全てフィクションにもかかわらず、結果として障がい者にとつて命の賠償に著しく差別された扱いがなされてまいりました。
18歳以下の子供が亡くなった場合、算定根拠となる直前の収入がないため将来の可能性を予測できないとして、障害が無ければ、フィクションとしての逸失利益は一律平均賃金で算定されます。
健康状態、家庭環境、学校の成績、なども考慮されることはありません。
しかし、障害があると現状は、働らいて稼ぐことができたということを亡くなる前の情報で立証しなければならないという扱いがなされています。
ここに命の差別を強く感じております。
私達は、子供の命を返して欲しい、それができないなら、命に差別のない賠償をしてほしいとして全額慰謝料として請求しました。
耐用年数が平均寿命のロボットではないのですから、損害は稼ぎだけではなく、生きていて経験するはずであった人生の全てです。
「人が、人の命に差別をする」ことはおかしいという気持ちをわかっていただくことを切に願っています。
私達は個人の利益としての和解を求めるより、将来に還元できる判決を求めて訴訟を起こしております。
より良い結果が出れば、障害者に対する差別や命の尊とさが見直され、施設の安全配慮にも少なからず影響するものと信じております。
共感いただける方のご声援が支えになります。今後ともよろしくお願い申し上げます。
9月22日の当日の流れ
13時10分頃 傍聴整理券配布(予定)
13時40分頃 傍聴整理券と傍聴券との引換えまたは抽選
(その時点で空席がある場合、開廷までの間満席になるまではお見えいただいた順に入廷可能で、103号法廷の前で裁判所の職員がご案内します。)
14時~15時 裁判【103号法廷にて、口頭弁論)
15時~ 裁判所向かいの弁護士会館10階1002会議室にて、報告集会
5月19日の第1回口頭弁論期日には、予想を遥かに超え、たくさんの皆様に傍聴いただきありがとうございました。
前回同様、原告と弁護団の弁護士の意見と陳述による主張が行われます。
傍聴いただく皆さんにご理解いただくため主張の内容がパワーポイントで裁判所の壁に映し出されます。
第1回は傍聴いただく方が多かったので、大きな法廷確保の都合もあり、次回、次々回と期日が入りました。引き続き高い関心をお持ち頂き、是非傍聴下さるようお願いいたします。
報告集会のみのご参加も歓迎です。
第2回口頭弁論期日
2017年9月22日(金)午後2時~3時
東京地方裁判所103号法廷
事件番号・事件名:平成29年(ワ)第4826号 損害賠償等請求事件
係属部:東京地方裁判所民事第39部合議A係
5月19日の第1回口頭弁論期日には、予想を遥かに超え、たくさんの皆様に傍聴いただきありがとうございました。
当日は、原告と弁護団の弁護士の意見陳述が行われました。裁判所よりパワーポイント使用が許可され、陳述内容がパワーポイントで裁判所の壁に映し出されました。
傍聴者が多かったので、大きな法廷確保の都合もあり、次回、次々回と期日が入りました。引き続き高い関心をお持ち頂き、是非傍聴下さるようお願いいたします。
<傍聴券配布の場合>
5月19日の期日には傍聴券が配布されました。
開廷50分前に裁判所正面入り口手前の右側で傍聴整理券が配布され、開廷20分後にその整理券を傍聴券に引き換えて頂き入廷していただきました。
傍聴希望される方が定員オーバーした場合には抽選になります。が、裁判終了後に報告集会を行いますので是非裁判所まで足をお運び下さるようお願いいたします。
法廷に入りきれないほどの人が感心を持っている、そこが大切です!!
明後日5月19日(金)裁判についての追加のお知らせです。
裁判所から急遽連絡があり、傍聴について整理券が配布されることになりました。
最も広い法廷ですが、裁判所が定員を超えることを危惧して変更されました。
裁判開始は14:00からですが、以下変更点についてお知らせします。
東京地裁正面玄関右手奥(ひさしが付いている付近)の②と表示された場所で、
13:10~13:40の間に整理券(85枚)が配布されます。
まずこの整理券を受け取っていただきます。
配布が85枚を超えてしまった場合、抽選が行われます。
当選番号が②の交付場所に掲示されます。
(整理番号が早いからといって入れるわけではなく、あくまで抽選によるとのことです。)
②の場所で当選された整理券を傍聴券に引換えて、荷物検査の後に裁判所内に入り、
103号法廷前で傍聴券を回収されて入廷することになりました。
整理券85枚いかなかった場合
整理券を②の交付場所で傍聴券と引き換え、以下同上となります。
整理券と傍聴券の引換えは13:40頃から行われる予定です。
13:40を過ぎて、裁判所にお見えになった方は、そのまま103号法廷に行っていただきますと、廊下に係員がいますので、傍聴希望の旨お伝えいただきますと、85人を超えていなければそのまま入れるとのことです。
直前の変更申し訳ございません。
第1回口頭弁論
5月19日(金) 14:00 東京地裁(霞が関) 第103号法廷で開かれます。
既に支援の会宛またはFacebookを通じて参加のご連絡をいただいている方以外で傍聴いただける方は、人数を把握したいと思いますので、5月15日(月)までに、ご連絡ください。
当日は13:40に東京地裁正面入り口を入って左側のソファあたりにお集まりください。
この裁判に関心を持つ人が多くいらっしゃることを裁判所にアピールするためたくさんの皆様のご参加をお願い致します。