2016年10月28日金曜日

ケチャ・マヨ

 食べることが大好きな息子、納豆以外はなんでも食べました。
 殊に寿司は大好きで、光り物も口にしました。
 パンにはこだわりがあり、調理パンや菓子パンには見向きもせず、何の変哲もない食パンを好みました。
 食パンを見ると、自分で冷蔵庫からマヨネーズとケチャップを運んできて、それぞれ厚塗りして勝手に食べています。
 息子流の「オーロラソース付パン」
 味は悪くなさそうだけど、ヘルシーとは言いがたく、
 家族は遠慮しました。
 母親はあわててケチャ・マヨをしまいます。
 足りなくなると「マヨえー」とか「ケチャぴー」といって追加を催促されました。
 息子がいた頃は、ケチャップも冷蔵庫で存在感がありました。
 今にして思えば、一緒に食べて「美味しいね」と共感してあげればよかった…。


ピーラー

 ニンジン、キュウリ、じゃがいも、タマネギ、息子は野菜の皮をむくのを好みました。
 タマネギ以外は学校の調理の時間に使い方を習ったピーラーを使います。
 又、むいた野菜を、包丁でサイコロ状にカットしました。
 コントロールしやすいように、包丁は子供用の軽いセラミック製を準備しました。
 我が家のメニューは自然にカレーとシチューそしてポテトサラダが多くなりました。
 家に置いてある野菜を見ると息子にスイッチが入ります。
 下ごしらえをするのは息子の仕事
 調理するのは母親の仕事
 包丁さばきを見守るのは父親の仕事…。
 おかげで家族に家事分担の習慣が身に付きました。
 食べることが好きでしたが、自分自身で下ごしらえしたメニューは格別だったようです。


2016年10月15日土曜日

エンターテイナー

ジャズヴォーカリストの鈴木重子さんが、息子の通っていた特別支援学校で、コンサートを行いました。
 ニューヨークのブルーノートにも出演され、東大法学部卒としても有名なミュージシャンです。
 休日で、保護者も招待されました。
 息子がまだ小学校低学年のころのことです。
 生演奏はオーデイオを介した音楽とは、各段の差があります。
 障がいのある方でも、大人しい方は経験する機会もあると思いますが、息子のような多動の症状があると、他の方の迷惑を考え、鑑賞する機会がほとんどありません。
 招待状を見たとき、参加を躊躇しました。
 息子のようなお子さんも来るだろうし、ボランテイアで演奏してくださる鈴木さんや主催された方もご理解されているだろうと思い、息子をつれて参加することにしました。
 アットホームな雰囲気の会場でした。
 息子が途中で飽きて走り回ることを考え、後ろのほうの席に座りました。
 途中退出し、息子の好きな散歩に切り替えればよいと思いました。
 コンサートが始まり、鈴木さんが登場し、挨拶に続いて演奏が開始されました。
 CDやウォークマンで聞き慣れた歌声でしたが、生で聞くとグッとハートに響き、引き込まれていきます。
 息子や他の生徒さん達をみると、みんな大人しく、嬉しそうに鑑賞しています。
 曲の合間に、鈴木さんのトークが入ります、落ち着いた穏やかな声で、子供たちも魅了されていました。
 コンサート会場では、演奏する側と観客側が、あうんの呼吸で雰囲気を盛り上げていきます。
 音楽のジャンルによって盛り上げ方は多少異なりますが、相互の意思表示でコミュニケーションが成立し、感動も共有できます。
 障がいのあるお子さんも、感激の意思表示はしますが、場面に則した表現は難しい方が多いため、保護者や支援者の方が子供たちに代わって場を盛り上げていきました。
 3回目くらいの曲の合間のトークの時、突然息子がつかつかと鈴木さんに近寄って行きました。予想外の行動で止める暇がありませんでした。
 座っていても背の高い鈴木さんを横から笑顔で見上げていました。
 手をすっと出し、鈴木さんと握手を交わしました。
 「よく来てくれた、とても良かった…」と言わんばかりに。
周囲の保護者や支援者の方から歓声が上がりました。
とても印象に残ったコンサートで、鈴木さんのボランティア活動の心意気を息子が感じ取り、アドリブで場面を盛り上げたんだと思っております。


2016年10月10日月曜日

子供を守るネットワーク

子供を守るネットワーク 略称「こどもネット」
 三多摩地域に所在する企業とその労組で構成され、市町村が支援しています。
 主に、バス・タクシー・宅配トラックの交通機関やインフラ関係の企業と市町村の公用車が車両に指定のステッカーを張り付けて掲示しています。
 こどもネットの説明のチラシが小学校や保育施設に掲示され、市町村のホームページにも掲載されています。
 チラシの内容は、「このステッカーを貼った車がみなさんを見守っています。危ないこと、怖いことがあったら声をかけてください」というもの。

 保護の手順も定められています。
①社員が車両業務中に子供の身の危険を察知し、一定の判断に基づき、こどもを一時保護する。
②落ち着かせたうえで、警察へ110番通報する。
③警察の指示に基づき保護の対応を行う。
④会社に一報をいれる。

 息子を乗せたバスの会社はこどもネットに加盟しており、車両にこのステッカーを掲示していました。
 息子が施設から出て、行方不明になった時に、接触があったと確認できているのは、乗車したバスの運転手で、大声を出し、バス乗車のルールも判らずに介助者なしで、終点で運賃を払わず下車しても通報をしなかった件は開設当初のブログで発信しました。
 
 バス会社に対し、警察に通報しなかった件について問いただしたところ、対応した担当者の回答は、思ってもいない内容でした。
乗務員の役割は乗客を目的地まで安全に移送することで、通報の義務はない。
痴漢それに類する行為で他の乗客に著しく迷惑をかければ通報するが、今回の事故は通報の対象ではない。
今後も、乗務員に対し教育するつもりもない。
というものでした。

 違和感を感じ、子供ネットの運営団体と支援している八王子市に照会したところ、運営団体から、「子供ネットは子供たちが不審者から狙われるのを防ぐのが目的で、息子のような事案は対象外であった。今後は検討していきたい。」との回答がありました。
設立して10年経ち、特にチラシやマークからは読み取れないものの、通報して子供を助けるケースは痴漢行為に限定していたとのことでした。
ステッカーは黄色い輪のなかに、赤塚不二夫のマンガに登場するようなお母さんと幼児が笑っているデザインで、「こどもを守る」と表記があるだけです。痴漢行為を目撃したら通報するのは当たり前のこと。ステッカーを貼ることがそうした行為の牽制が目的なら、漠然としたスローガンではなく、具体的に明示すべきものと考えます。
迷子や困っているようなお子さんがいても、保護の対象ではなく、通報の義務はないということになります。障がい者だけでなく、健常のお子さんをお持ちの親御さんも誤解を招くようなステッカーだと違和感がぬぐえません。
 障害者差別解消法が施行された今、スローガンに違和感が感じられないよう改善すべきだと思います。

誤解をさけるため、以下、子供ネットの事務局からの回答を宛名と発信者名を除いて掲載します。

(長文です。)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 この度は、ご子息のご冥福、心よりお祈り申し上げます。

 先日、ご頂戴致しました件に関し、「こどもを守るネットワーク」としての見解を述べさせて頂きたいと思います。

 こどもを守るネットワークは、2006年に設立し、2016年6月をもって満10年が経ちました。当初、全国でこどもたちが不審者から狙われる状況を踏まえ、三多摩地域において、こどもたちが安心して安全に暮らせるよう、労働組合、連合として何かできないか、という視点で議論を重ね、設立に至りました。

日々の活動としては、三多摩地域において車輌業務に携わる社員・組合員を中心に、こどもの見守り活動を行っています。
具体的には、こどもが不審者からの“声掛け”“身体接触”“公然わいせつ行為”等に遭遇した場合、「こどもを守るネットワークのステッカーを貼っている車に、こどもが安心して助けが求められるよう、また、こどもが助けを求めてきた時は、運転手は、一時的にこどもを保護する」といった内容となっています。

よって、今回のバス車内で起きた事案とは、少し異なることだと考えます。しかし、「こどもを守る」ということには何ら変わりはないことも事実でございますので、今後については、今回の出来事を真摯に受けとめ、こどもを守るネットワーク対策委員会で議論し、立川警察にも助言を頂きながら、今回のような事案についても検討していきたいと考えています。

続 東京都の対応

本日10月7日、東京都から照会の回答が送られてきました。
 施設の過失に対し、行政処分しない理由を尋ねたことに対する回答です。

 「行政処分については、法令・基準違反の重大性や故意性・悪質性の存在により、児童福祉に著しく有害であるとみとめられる場合に行うことができることとなります。」
 「これを当該施設についてみたところ、職員の意識・行動等や管理運営面において不適切・不十分な点などが認められましたが、不正請求等の組織的・悪質な行為や重大・明白な法令・基準違反、改善指導に従わない又は改善の見込みがないなど、行政処分に至るまでの理由は認められませんでした。」

 障がい者の施設に対し、過失責任に対するペナルティの基準が、一般的な慣行と比べかなり緩やかで、納得できないものでした。

 省略することで誤解を招く恐れがあるため、宛名・差出人名を除き以下全文を載せます。
 (長文です。)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 改めてお悔やみを申し上げ、ご子息様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
 
 ご指定の回答期限に遅れましたこと、深くお詫び申し上げますとともに、以下のとおり、回答させていただきます。

 まず、ご子息様の失踪を招いた原因としては、調査結果報告書に記載していますとおり、複数の施設職員による不注意や不適切な行動等があったこと、また、これらの行動等につながった要因として、管理運営面において、職員の意識づけや業務手順・ルールの徹底などに不備・不足等があったことが認められました。
 一方、これも調査結果報告書に記載しておりますとおり、今回の事態が発生する以前、施設においては、不足等があったとしても、事故防止・リスクマネジメントの取組、支援に係る手順書・マニュアルの整備、内部研修の実施など、入所児童に対する支援や安全管理に当たり、組織的な取組が行われていました。
 こうした中、都といたしましては、施設に対し、運営管理面における観点を含め、業務手順・ルール等の見直し・徹底などを図るとともに、玄関扉の二重化、敷地内フェンス・門扉の増設等の対応がなされており、都の改善指導に従い、安全対策に取り組んでいることが認められます。
 御要請の行政処分については、法令・基準違反の重大性や故意性・悪質性の存在により、児童福祉に著しく有害であると認められる場合に行うことができることとなります。
 これを当該施設についてみたところ、上述のとおり、職員の意識・行動等や管理運営面において不適切・不十分な点などが認められましたが、不正請求等の組織的・悪質な行為や重大・明白な法令・基準違反、改善指導に従わない又は改善の見込みがないなど、行政処分に至るまでの理由は認められませんでした。

 ブログをすべて拝読させていただきました。最愛のご子息様を亡くされたことの悲しみや葛藤の大きさなど、ご心中をお察しするに余りあり、ご納得いただくことは困難と拝察いたしますが、都といたしましては、今後とも継続的に、当該施設に対して指導を行ってまいります。

再会

11月の初頭、規模の大きな捜索の直前に息子と同年配の遺体が沢で発見され、神奈川県の警察署に収容されたという情報が入りました。
捜索をお願いしている警察署に確認したところ、身元の特定ができていないとの回答がありました。
特定できない理由は、時間の経過による損傷とのこと…。
息子が歩いていた縦走コースは、東京と神奈川の県境で、発見された場所は相模原市の警察の管轄でした。
相模原市に行けば会えるのではと思い再度尋ねましたが、検死で身元が息子と特定できなければダメとの回答がありました。
予定通り、捜索が行われ、いくつかの遺品が見つかりました。
捜索の終了時、今までの経緯を説明していただきました。
情報はいくつか提供いただいたものの、追跡につながったものが少なく、捜索は難航したとのこと。
説明から、事故は発覚の遅れが致命的な原因であったと再認識しました。
DNA鑑定により、沢で発見された遺体が息子と確認されたのは、翌年の1月の初頭でした。
遺体の状況から、死亡には外的な要因がなく、飢えと寒さによるものと考えられるとの説明がありました。
沢までの経緯について、滑落したものか、自分で下山したのかは不明で、発見された場所から推定すると、沢をさ迷っていたようだとのことでした。
台風の影響で天候がかなり悪い時期でした。
淋しい場所で、濡れたまま、どんなに辛い思いをしたことか…。
斎場で息子の変わり果てた姿に面会できるまでに、行方不明から4カ月かかりました。


東京都の対応

施設を監督する行政は、東京都の福祉保健局です。
息子の事故原因は調査したものの、過失に対する行政処分は実施していません。
被害者側に対する聞き取りも実施していません。
知事に対し親展の手紙で処分を要請しましたが、一月以上経過しても何の回答もありません。
福祉保健局長と障害者施策推進部長にあてて、処分をしない理由について、期限をくぎった照会を書面で送付しましたが、期限を経過しても回答はありません。
以前にも投稿しましたが、保育園同様、希望者に対する数が足りず、質の向上に寄与する競争原理がはたらいていません。
飲食店で食中毒が発生すれば、営業停止になります。
飲酒運転で人身事故を発生させれば免許停止となり交通刑務所で服役します。
複数の職員がルールを守らず、人命より効率を優先させた扉の運用を行い、防犯カメラの不調を放置していたため、事故が発生し発覚も遅れた責任が問われないとしたら、障がい者の命を軽視していると判断せざるを得ません。
行政が、障害者を差別していると私達は考えています。
息子の死を無駄にはさせたくありません。